続夏目友人帳 第11話『呪術師の会』〜浮き彫りになる夏目の特異性〜

この作品にしては珍しく、棘のある人物=七瀬が出て来た今回は、夏目が再び世間の風にちょっとだけ晒されて、珍しく動揺した回でもありました。



夏目の世界には、いい妖怪や悪い妖怪もいるけれど、それは人間の世界でも同じ。



いや、むしろ同じ人間の方が、騙したり、欺いたり、利用したり…なんて日常茶飯事。大人の世界は汚くて、理不尽だということを、夏目はかつて肌で感じて知っていたはずなのだが…再びそのことを思い知らされ、それは強い憤りの感情となって現れた。それが、負の感情として爆発しないように、すかさずフォローを入れる名取とニャンコ先生がいい。







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七瀬の言いようは、リアルの大人にかなり近い。とても現実的なのだ(本当、こんな人普通にいるし、七瀬なんて、利用させてもらったことを明かして、謝礼を払う分、むしろ正直な人の部類だ)。



だから、レイコさんについて夏目に訪ねた時の七瀬の言葉は社交辞令みたいなもの。それを、今まであまりに祖母について誰も懐かしんでくれなかったものだから、夏目は少し勘違いしてしまったのだ。



七瀬の妖怪の扱いは、確かに酷いが、考え方としては、むしろ常識的。



名取が夏目に「自分を知る」ように言うが、それは、その飛び抜けた妖力と特異な立場だけでなく、夏目の感じ方が少数派であるということも自覚する必要があるということも含んでいはしないだろうか。



夏目の初めて飛ばした紙人形があんなに飛ぶこと自体、本当はもの凄いことなはずだ(想定外なので、名取は窓を開けていなかったのだ)。
初めての封印も名取と一緒だったはいえ難なくこなし、拳一発で賞金首を殴り飛ばす夏目。視聴者には見慣れた光景が、実は特別だったということ。
友人帳だけでなく、夏目という存在自体が、どんなに特別なのかが、
この呪術師の会で以前よりはっきりと浮き彫りとなった形だ。



夏目のあまりにも突出した能力は、実は、的場一門と関わりがあったりするんじゃないかと、ちょっと思っていたりもする。



一方、名取さんは、今回、あっさり七瀬にしてやられてしまうくらい、まだまだ若造でお人好しの部類だが、夏目に比べれば、人にも妖怪にも、多くの苦い想い
をさせられてきたに違いない。有名な祓い屋の家系の跡取りで、「わけもなくその筋で有名人」という生い立ちは、夏目と共通する部分でもある。



名取は、自分とどこか境遇が似ていて、あまりにも繊細すぎる夏目を、なんとかして守ってやりたいと思っている反面、夏目の才能には一目置いて、自分
の仕事を手伝わせたりして、どの程度の能力か見定めようとしている。それは、名取のある思惑によるのだが、今期のアニメではまだ出て来ないかもしれない。



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(あらすじ)



偶然、助けを求めるように現れた手負いのカラスの妖かしは、賞金首の首だけ妖怪に夏目の目前で食べられてしまった。賞金首を追って現れた名取は、夏目を呪術師の会に誘う。



呪術師の会に向かう夏目とニャンコ先生に、柊と名取も合流。夏目は柊に左腕に魔除けを書いてもらった。



会合で、夏目は、七瀬という的場一門の初老の女呪術師に出会う。



彼女からレイコさんの消息を訪ねられたことで、夏目は気を許すが、実は七瀬は賞金首を新しい式にしようと自分の式を餌にするような人物だった。



名取と夏目が必死で賞金首を封印した壷も名取の手に渡ってしまう(ただし、代金は払ってくれるらしい)。



名取は休む間もなく次の“ちょっと厄介な”仕事に向かう。



次回、『廃屋の少年』。



次回は珍しく今回の続きとして作ってあるようですね(次回の妖かしが、今回のラストでもう出て来てる)。



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